若葉燃ゆる日の、ニンフとドライの答え合わせ

フィールドノート
北海道某河川フィールドノート

若葉燃ゆる日の、ニンフとドライの答え合わせ

雪代が落ち着き、水量がようやく安定してきた頃。川沿いの木々は薄い緑をまとい、歩いているだけで少し汗ばむようになっていた。


雪代が引き、若葉の色が川面に映り始める頃。

まずは確実な一匹を取りにいく

気温は思ったより高かった。寒いかも、と思って少し暖かい格好で来たが、歩いているうちに汗ばむ。

気温19度、水温13度

ワンチャン、ドライフライでもいけるかもしれない。そんな期待もあった。

ただ、最初に結んだのはニンフだった。理由は単純で、まずは固いところで一匹確保したかったからだ。

水はわずかに笹濁り。ここ数日、雨は降っていない。それなのに、思いのほかほんの少し濁りが残っていた。雪代は終わったようで、川の中にはまだその名残があるのかもしれない。

いつもの深みに、そっとニンフを流す。

すると、会心のアタリが出た。


小さな一匹だったが、雪解け後の小河川で出会えたことが嬉しかった。

釣れたのは、この小河川らしい二十センチほどのニジマスだった。

大きさの問題ではなかった。雪解けが落ち着き、またこうして川に立てる季節が戻ってきた。その最初の一匹だったからだ。

水面を試してみたくなる

一匹釣れたことで、少し気持ちに余裕が出た。

水温も空気も、もう完全に冬のものではない。ならば、ドライフライでも出るかもしれない。

本来ならもう少し細いティペットを使いたかった。けれど、この日は最初からニンフのつもりで来ていた。バッグに入っていたのは、先日大きなニジマスを釣った時の4X、1.2号だけだった。

少し太いな、とは思った。けれど、ないものは仕方ない。そのまま結ぶことにした。


ニンフで確認した後、少しだけ水面の可能性を試したくなった。

川に覆いかぶさる笹の茂み。その影の下へ、ドライフライを送り込む。

そこで、思いのほか大きな一匹が出た。

この小河川に似つかわしくない大きさだ。ここはこのサプライズが楽しい。



笹の影から出た一匹。水面にも、少しだけ季節の気配があった。

魚の答えを確かめる

その後もドライで続けてみたが、反応はなかなか続かなかった。

そこで、釣れた魚が何を食べているのかを確かめることにした。ストマックポンプで内容物を確認する。


魚の答えは、水の中にあった。

思ったより多く食べていた。中心は水生昆虫だった。

活性は低くない。ただ、まだ魚は水面を強く意識していないのだろう。羽虫ではなく、水中を流れてくる餌を拾っているように見えた。

それを見て、もう一度ニンフに戻すことにした。

やはり、ニンフには食ってくる。

もう一度確かめるために、ストマックポンプで胃の内容物を吸い出してみる。内容物を見ると、やはり活性は高い。いろいろなものを食べているのが分かる。

その中で少し驚いたのが、ここ数日雨も降っていないのに、陸生昆虫の幼虫が結構入っていたことだった。

ただ、羽虫は見えない。やはり主に水中の餌、流れてくる餌を捕食しているのだろう。

まだ、水面は本格的には見ていない。


活性はある。けれど、視線はまだ水面よりも水中にあるようだった。

身近すぎる北海道

なんだかんだ言っても、このあたりはヒグマの気配がある。笛を吹き、鈴を鳴らしながら進む。

それでも、こういう景色が驚くほど身近にある。ここが北海道の面白いところなのだと思う。

フキはすでに花を終え、白い綿毛を揺らしていた。春が来たと思っていたら、川辺の植物たちはもう次の季節へ向かっている。


フキの綿毛が揺れる頃、川も少しずつ次の季節へ進んでいく。


笛を吹き、鈴を鳴らしながら進む。北海道では、それも釣りの一部になる。


午後の光が川面に残っていた。

三時間の答え合わせ

昼過ぎに、少しだけ様子を見に来たつもりだった。

気がつけば三時間ほど川の中に立っていた。

大きな釣りではない。けれど、雪代後の水量、わずかな笹濁り、ドライへの反応、魚の胃の中、水中の餌。

いくつかの答え合わせはできた。

この川は、今日も静かに答えを返してくれた。

かなり楽しい一日だった。